海外で その1
A伯爵夫人の住まいはパリでは珍しい一軒家。
庭つきの屋敷が何軒か固まってひっそりとたたずむMという名のこの一角は、周りを棚で囲み、入口のところには門番を置いて住民のプライバシーと安全を保障しています。
緑深く、小鳥のさえずりが絶えません。
まるで森の中に迷い込んだような印象だ。
そんなヴィラMの中でも、かなり奥まったところに目指す館はありました。
ノルマンディの夏の家を思わせる様式のその家をこうして初めて訪れたのは、ある秋の午後の時間でした。
外は天気がよかったが、家の中は少し湿った感じで薄暗い。
玄関広間を抜けて、その先にある居間へと私を案内してくれたのは、こういう場合によくありがちな制服を着たお手伝いさんではなく、伯爵夫人本人でした。